「フォト一揆」に見る関西Jr.のファン心理
関西ジャニーズJr.のファンでなくても「フォト一揆」という言葉を知っている人は多いのではないか。
松竹座公演には毎回一部の出演者のフォトセットが発売される。
一応事務所も多すぎると余剰在庫になってしまうけれど、かと言ってあまりに早く売り切れになると売上も減ってしまうしあとあとファンからクレームになりかねないし、多少大目に発注していると思う。
そのフォトセットを何としてでもファンの力で千秋楽までに売り切れにさせる!というのが、「フォト一揆」の概要である。
千秋楽が近づいてくると松竹座のグッズ売場はいつも以上の活気に溢れる。
自分の好きなJr.のフォトがどれくらい残っているかをチェックして、自分のお財布と相談をしできるだけ買い込む。
そんな姿があちこちで見受けられる。
千秋楽となるとこれがもうまさに「一揆」である。
「○○君のフォトセット、残り何セットですか?」「あ、じゃあ50セットください」みたいな会話があちこちで聞こえてくる。
ツイッター上では在庫報告が飛び交い、「○○君のフォトセット残り300セット以上あります。このままでは売り切れにできないかもしれません。○○担の方々みなさんで買いに行きましょう!」みたいな呼びかけも流れてくる。
「○○君のフォトは売り切れです!」という声が売場に響き渡ると、こっちも負けてられないとばかりに相乗効果で「一揆」は加熱していく。
最終的には「残り150セット?じゃあ残り全部ください」みたいなつわものが出てきて、売り切れにさせ、松竹座のロビーはあちこちで知らない人同士の歓喜のハイタッチが繰り広げられたりする。
ツイッターのTL上も、「ヤッター!!」「おめでとう!!!」みたいな歓喜のツイに溢れ、いささか「松竹座祭り」の様相を呈す。
当たり前だけれど、買っている本人は本当に150セット欲しいわけではない。余分に買うにしても10セットあれば十分だろう。
ではなぜそんなにも買い込むのか。イベントにしては金がかかりすぎている。
ファンの間では、事務所が出すフォト(ジャニーズショップの写真も含め)の売上というのは一定の割合で本人に還元されているという見方が強い。
ということは、写真が売れれば売れるほど自分が応援している人のお金にもなるし、事務所にそのタレントが人気度が高いと認知される格好の材料である。
「フォト一揆」とはまさに「自担をフォトセットというツールを使って支えるんだ」っていう女の意地とプライドで成り立っている。
私が関西Jr.のファンになって一番驚いたことは、「私たちの力でなんとか彼らをデビューさせよう」という気持ちが強いことである。
今でこそ関西Jr.が東京で舞台をやったりツアーで各地を回ったりすることもあるが、当時は関西Jr.の活躍の場はほぼ関西圏に限られており、東京のJr.なんかに負けてられないぞ!という気持ちが、ファンにも関西Jr.本人たちにもあった。
活躍の場を広げるためには、ファンはコツコツと人気と需要の高さを事務所にアピールする必要があった。
もちろん彼らが好きで公演を見たいから松竹座に何度も足を運ぶのはもちろんであるが、こんなに彼らって人気がありますと事務所に知らしめることに力を注いでいた。
そのひとつがこの「フォト一揆」なのである。
また、ここまでやるには「かけもち」なんかしていたら気持ちもお金も持つはずがない。
自分はこのJr.に全力を注ぐと言う心意気があるので、「かけもち」なんて許せない。
「あんた、他にお金使ってる余裕あるんだったら、こっちに金かけよろ!デビューかかってんだぞ!」みたいな。
ある知り合いが「別にいいよ、かけもちしたって。二人に同じだけお金と力を注げるのであれば。100ある力を50:50にするんじゃなくて、どっちも100ずつかけられるんならば」って冷たく言い放ったのを今でも忘れない(笑)
しかしながら、当時は関西Jr.のファンは本当にそういうスタンスの人が多かった気がする。
最初は私も「やべー世界きちまったなwww」とか思ってたのだが、しばらくするとその心意気に納得するようになった。
だから、関西Jr.のファンってとても熱い。
Jr.という不安定な立場をよく理解していらっしゃる。
「今日が最後かもしれない」という思いで現場に入っているのでいつも全速力だ。
予想外に当日の朝に「○○くんが××のツアーにつきそう!!!!」となったら、会社をすぐに早退しそのままうちわを持って新幹線に乗り込む熱いヲタクも多かった。
それゆえ色々なめんどくさいこともあったが、関西Jr.のファンはなかなか楽しかった。